ピアノ部門 講評
今回はコロナ禍の中、Web審査となりました。参加者の方はもちろんのこと、保護者の皆様、指導者の皆様、大変だったと思います。本当にご苦労様でした。
しかしステージでの演奏とは違い、何度も自分の演奏を確認しながら取り組まれたと思います。これも良い機会だったと前向きに捉えて下さい。
審査員も動画審査はほとんどの方が初めてでしたが、精一杯誠実に審査致しました。講評は各部門ごとに簡単ですが、感じたことを述べます。
《幼児の部》
曲をイメージして、とてもかわいらしく弾いています。ピアノを始めて数ヶ月、数年のお子様たちですが、拍子、メロディー、ハーモニーを大切に表現しています。その曲に合ったテンポも考えてください。
《小学校低学年の部》
課題曲は作曲された年代により、それぞれ特徴があります。そのことを大切に考え取り組んでいます。メヌエットは踊りをイメージして舞曲らしく弾いてください。
《小学校中学年の部》
課題曲は、どの曲も今の年齢で基本的に習得して欲しい内容が含まれています。特に「こぎつね」と「かに」はテンポの指示を守って下さい。
《小学校高学年の部》
この部門からバロックにバッハ作品を課題曲としています。
片方の手がメロディーでもう片方が伴奏だけではなく、両方の手がどちらも同等の表現能力を持ち、
その上にもう一つの手(声部)が加わる時、耳でよく確認しながら演奏して欲しいという狙いです。
これは他の課題のクラシック、邦人作品にも通じる勉強目的です。
《中学校の部》
バロックに組曲の一部が課題となりました。
音を聞く→体が反応したくなる→様々な踊り(ダンス、ステップ)に繋がる、
という音楽発生のルーツを感じる事はどの時代の作品でも重要です。
多くの邦人作曲家が響きの点で大きな影響を受けたフランスの作曲家ドビュッシーの作品も課題となりました。
自身が演奏しているフレーズがどの方向を目指しているのか?を考える事も大事です。
《高校の部》
バッハの平均律では調性感、プレリュードとフーガの関連性も勉強して欲しい点です。
ハイドン作品は自筆譜にはまだテンポ、強弱記号があまりありませんので、ハーモニー進行等にも注目し、自身で創意工夫が必要です。
それに引き換え、ロマン派のメンデルスゾーンは作品に書かれている沢山の表示から多くのアイデアを受け止めて表現に繋げていきましょう。
《大学・一般の部》
沢山の方に参加して頂きたくて課題曲の範囲を広げました。参加者の方が選曲された曲は一度は取り組んで欲しい曲目でした。テクニックの面で弾き切れていない方や内容表現が伴わない方がおられました。
皆さん実力一杯に演奏されていました。